平成は、何の時代かと問われれば「震災」の時代となるのです。


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平成は、どんな時代かと問われたら
・戦争がなかった時代
・日本の経済力が衰えた時代
・自然災害が多発した時代
と答えると思う。

僕は、運よく自然災害の犠牲から逃れた。
関西の人間なのに、阪神淡路の大震災では、別の地におり
台風などの自然災害の被害も受けていない

この物語の主人公「彼」は、東北の震災の被害者だ。
彼が、水害の地である奈良の十津川をバス旅行する話し。

たいくつです。
バス停に停まると、解説みたいに地誌や歴史の説明が始まる
そこに、過去の悲惨な思いでが入ってくる

例えば、震災後、墓参りに行くと墓が流されてなかった。
地が塩の臭いがしたという感じだ。
墓って高台にあるでしょ
そこまで津波が来たってことですよね。

盲目の知人が、震災後、生き抜いた。
でも、仮設住宅にいた彼は、突然、どこかにいなくなる。

こういう話しが、たくさん。

何だか、やりきれなくなってくる。
たぶん、これは日本人の中に震災被害のDNAが残っているから
それとも震災が共通認識だからだろうか?

関西の年配の人が、良く言う
「テレビ見ていると、地震速報出るけど、あれ見ていると心臓がドキドキする」
トラウマだと思う。

僕には、東北地震で親と妹を亡くした知人がいる。
彼は、震災の後、故郷に行き
そのことを知る
でも、叔父さんだけは生きていた
その叔父さんが、半年後、忽然と仮設住宅から姿を消した
自分だけ生き残った罪悪感なのかなと知人は言う
この本を読んでて、この話しを思い出した。

日本人の中にある
災害に対する共通認識が
こういう災害文学を読むと
辛いという反応を引き起こさせるように思う

小説としては、おもしろくなかった。
でも、色々と考えさせられた。


ページ数 274
読書時間 6時間
読了日 4/11