一度で二度も楽しめるSF作品でした。
お芝居にもなっています。


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演劇集団キャラメルボックスで上演された舞台に着想を得た作品(短編集)。
ヒア・カムズ・ザ・サン(Parallel)
ヒア・カムズ・ザ・サン

2作品とも同じ設定なのに、全く違う印象、読後感を味うことができます
これが、この本の特徴です

ヒア・カムズ・ザ・サンは、ミステリー風の切ない物語
ヒア・カムズ・ザ・サン(Parallel)は、どうしようもない父としっかりものの娘の物語

この作品は、7行のある役者の台詞がヒントになったのだそうだ
そこから、これを作れるんだから、有川先生の才能のすごさってのが
もう凄いってのがわかります

主人公の真也は、

何かに触れた時、不思議なものが見えたり聞こえたりすることが幼い時からよくあった
つまり、能力者

見えたり聞こえたりする、その「何か」は、どうやら、そこに残された「思い」らしい

触れたものは、2作品共通で、アメリカ帰りの父から、幼いころに別れた娘への手紙

そこに「会いたい」という強烈な思いが噴出していた。

ヒア・カムズ・ザ・サンの父親は、アメリカで大ヒット映画シリーズの脚本をして成功しているHALという人
Parallelの父親は、自称成功者の嘘つき親父

ヒア・カムズ・ザ・サンの父親は、以前、出演している動画と、目の前のHALが別人と判明する
ミステリーなので、ここまでしか語れませんが
この謎解き場面と、どうして、別人であるのかが鍵となります
すごく切ない話しです

Parallelの父親は、話しを盛る人で、娘からすると嘘つき親父
成功したのは嘘でも、「会いたい」気持ちは本物
最後に、本当の理由。会いたかった理由がわかります。
これも物語の鍵になる場面なので
語れませんが、嘘つき親父が語る真実は、読者に迫ってくる感情があって
僕は、Parallelの方が好きです

SF好きな人で、こういう変わった実験小説が好きな人は
たぶん、気にいって貰えると思います。

短編小説としても、2つとも読みごたえがあり
設定とは関係なく楽しめると思います。
いい時間が過ごせました。

ページ数 257
読書時間 5時間
読了日 4/21