ネタバレあり
伏 桜庭一樹
ネタバレあり
<読了> #黄泉がえりagain #梶尾真治
— 武藤吐夢@読書などなど・・・ (@m181981) 2019年4月9日
あの名作の続編
今回は、加藤清正や恐竜が蘇る
切実に、その人を思う願いが、その現象を引き起こす
蘇った人たちは、スーパー台風の被害から
愛する人たちを守るために再び生命を投げ出すのだった
そこに熊本地震からの復興の願いが重なっているように思う pic.twitter.com/VbiRy1yaTU
<読了> #東京の子 #藤井太洋
— 武藤吐夢@読書などなど・・・ (@m181981) 2019年3月20日
経済的に衰退した日本では、労働者不足が深刻となり移民を雇う
オリンピック跡地にできた大学では、学費も生活費も家も借りられ、働きながら学校に通える。だが、それは借金であり自由を奪うことでもある。
近未来の予測?https://t.co/YUt8E1mZns pic.twitter.com/THLt7A5TuS
夏目漱石の訳した I LOVE YOU の訳である「月が綺麗ですね」が最も好きな日本語であると・・・
<読了> #ことのはロジック #皆藤黒助
— 武藤吐夢@読書などなど・・・ (@m181981) 2019年3月16日
4つの言葉にこだわったミステリー短編集。
外国人の超美人アキと、元書道の達人の男子生徒のコンビが謎に挑む。
ラストの、I LOVE YOU の自分なりの表現
屋上に描いた文字は、なかなか興味深かった。
高校生に、こんな告白できるの?https://t.co/YUt8E1mZns pic.twitter.com/mHOOB2YbDr
狼の親は、外に対して一致した行動をとるP28
リーダーの地位と攻撃性は関係がない。たえず威張ったり挑発したりするリーダーは、権力の喪失を恐れているためであり、リーダーに相応しい人格ではないP45
カラスは、狼にとって警報装置であり、いっしょにエサをつつく邪魔者である。カラスは狼の糞を食べる。大人の狼の糞には、消化されずに排泄された骨や毛が含まれている`122
自制と役割交代を通して、どのような態度ならほかのメンバーに許容されるか、どうやって紛争を解決するか、といったことを学んでいくP156
狼は家族がいなくなると悲しむ。誰かが死んだり姿を消したりすると、困惑して捜索をする。・・・嘆きを込めて遠吠えを繰り返す。でも、やがて振り払い、立ち上がって、それまでの生活の営みを続ける。生活のリズムに従って、・・・自然界のあらゆる生物がするように、今、ここに生きていることを祝う。この能力を失ったのは、人間だけではないだろうか。・・・、もっと、現在を生きればいいのにP175
<読了>#狼の群れはなぜ真剣に遊ぶのか #エリ・H・ラディンガー
— 武藤吐夢@読書などなど・・・ (@m181981) 2019年3月15日
写真がたくさんあり、かわいい狼がいっぱい。
悪役だった狼が、犬のように親しい存在となった。
残酷に他の獣たちを狩猟する姿をも、生きる為だと思うと当然に思えてくる。
狼の認識を変える本だった。https://t.co/YUt8E1mZns pic.twitter.com/b4Ah4XF1sw
<読了>#暗殺日和はタロットで #古川春秋
— 武藤吐夢@読書などなど・・・ (@m181981) 2019年3月11日
タロット占いが趣味のスナイパー。
4年ぶりに目覚めた天才ピアニストの殺害を依頼される。
謎の依頼人、目的は何?。
彼女の父親の死。ヤクザ、チャイニーズマフィア、女子高生
誘拐、映画のような冒険活劇。ラストまで目が離せないhttps://t.co/YUt8E1mZns pic.twitter.com/qJgYKi39UG
「むしろ食べたい」
一話の最後のページのこのセリフが印象に残った。
「どんだけ、お母さんを愛してるねん」
その気持ちわかる。
愛情って、なんか狂気と似てる。
深い愛情の裏側は、ホラー映画の感覚なんですよ
今から語る話しは、友人Yの話しです。
彼は、大学時代の友人でした。
夏休みにバイクで日本一周の旅をしていました。
ゴールデンウィーク前に、恋人に一方的な別れを告げられたのです。
高校時代に付き合ってた人にプロポーズされたので、大学を辞めて徳島の田舎に戻り農家の跡取りの嫁になるという話しでした。
思いを断ち切れないYは、祇園祭が終わると、すぐに、一人で旅立ちました。
失恋旅行です。
倉敷の手前の林道で夕方、一瞬、目の前に、その別れた恋人が現れた。
慌ててハンドルを右に切る。彼は地面に投げ出され、バイクはそのまま白いガードレールに突っ込んで大破。ぐしゃん。
彼は、右足を骨折しました。
そのまま倉敷の病院に運ばれ、そこから電話がありました。
「京香が、京香が出てきよったんや」
たぶん、幻覚を見たのでしょう。
夕方の時刻は、逢魔が時と言いまして、変なものを見る時間帯です。
京都に戻ってきたYは、松葉杖の姿で、僕のバイト先の塾に現れました。
「お前の彼女って、京香のツレやんか。実家の住所とかわかるやろ。教えろや」と言うのです。
彼の目の前に現れた京香さんが、とても悲しげな顔で目から血を流していたというのです。
「心配や、オレ、めっちゃ心配や・・・」とひつこく言うのです。
もう、おわかりだと思いますが、京香さんはÝの元カノです。
「何かあったに違いない。嫁ぎ先で小姑にイジメられてるんや。義母は、泉ピン子みたいに怖い人なんや。実家の住所を教えろ」とひつこい。壁際まで追い込まれて、Tシャツの首の所をつかむからピローーーんです。
とりあえず、当時、付き合っていた女の子に問い合わせると、「年賀状が来てたと思う。でも、教えたくない」。口止めされているんです。
そりゃ、そうです。別れた男に、追いかけてこられるのは迷惑ですから、当たり前。でも、Yは納得しない。
「何とかせいや。お前ならできるはずや・・・」と無茶を言う。
僕の弱みをつき、脅し、彼女がバイトでいない時間帯に、忍び込み京香さんの実家の住所をゲットしろ脅します。
だから、「頼む・・・」と恋人に頭を下げたのですが、断られました。
教えられない事情があったのです。
京香さんは、Yに嘘をついていました。
結婚なんかしてなくて、本当は、病気が発覚して
それが末期で助からないとわかり、彼から身を引いた。
彼女が死んだのは、Yが事故にあう二か月ほど前。
49日より後だから、今ごろ天国だと彼女は言います。
つまり、京都を離れて、少しして死んだということです。
49日を過ぎたら魂は、この世を離れるからYの話しはすべて妄想だって決めつけます。
その事実をYに告げると、彼は号泣し、コンビニのアイスの入っているBOXに頭を入れて自殺しようとしました。もちろん、店員に追い出されましたが、わけがわからないくらい狼狽してた。変になっているとしか思えなかった。電信柱に頭をゴンゴンと叩きしけて、頭蓋骨から変な音がして、このままだったら、頭の骨が割れて脳みそが飛び出して来るんじゃないかって、僕は焦りました。
どうしても墓に参りたい。最後の別れがしたい。でないと諦めきれないと泣きます。足にしがみつき、人前で僕のズボンを脱がそうとまでしました。「出世したら1億やるから、頼むわ・・・・」と泣きわめきます。
仕方ないので、僕は、彼女の部屋の合鍵を持っていたので、京香さんからの年賀状を勝手に持ち出しました。
彼に、それを渡すと、そのまま徳島に向かいました。
神戸から徳島へのフェリーを乗る待ち時間に、Yは泣ぎながら電話をしてきました。
「俺、京香の墓から骨を盗むつもりや」
馬鹿な男です。でも、僕に止めることはできなかった。何となくだけど気持ちが理解できたからです。
世界の中心で、愛をさけぶって映画があったでしょ。
あの作品に、お爺さんに頼まれて、お爺さんの思い人の骨を盗むシーンがあり、たぶん、それの真似だと思います。京香ちゃんの骨をどうしても手元に置きたかったのだと思います。
彼は、9月の末に京都に戻ってきました。
僕に「ほな、これを澄香ちゃんに返しておいてぇな」と年賀はがきと、お土産だというゆず団子をくれました。
Yは、とても嬉しそうに笑っていました。
僕は、そんなYに問いました。
「で、骨は・・・」
「ゲットした」
「そこにあるのか」
「いや、その場で小さい欠片を食った」
「お前、正気か?」
「これで京香は、オレの中で生きられるやん。一生、オレと一緒におれるやん」
「だけど・・・」
「俺、今、さいこーーに幸せなんや。さいこーーや」
「食べてのか」
「うん、食べた。味はしなかったよ」
その話しを、当時付き合っていた彼女に話すと泣き出しました。
理由を聞いても答えなくて、ひつこく聞くとトイレに入り込んで、そこで3時間くらい引きこもってしまいました。
わけがわからなくて混乱して、やることもなく夕食を買って来て、テーブルに並べて、味噌汁とか作っていると出てきました。
「君は、のんきだなぁ」と泣き顔で言われました。「京香は幸せだよね・・・」
僕もそう思います。そこまで誰かを思えるって素晴らしいことです。
遺骨を食べるって、普通、かなり気色の悪いことだと思います。それを平気でやってのけるのだから、すごい愛情です。食べた場所は墓場ですよ。普通の精神状態の人間は、絶対にそんなことできないし、おかしいですよ。
「君、同じことできる?」と聞かれたけど、できないと思ったから「絶対に無理」と言うと、彼女は「普通はそうだよ。私もしないし、君の実家の住所も知らないよ」
僕も1年も付き合っていたのに、彼女の実家のことは何も知りませんでした。
実は、今も知らない。
食事の後、彼女は泣いた理由を教えてくれました。
京香さんの両親は離婚していて、母親は中学の時、父親は高校の時に他界しております。
徳島で80歳くらいのお祖母ちゃんと二人で暮らしていたのですが、成績がそこそこ良かったので、母方の叔父さんにお金を出して貰って大学に通っていたらしいのです。
当然、病気になった後、彼女は徳島ではなく、関東に住む叔父さんの家の近くの病院に入院したはずです。
京香さんが死んだという連絡もおじさんからでした。
お墓もお母さんの方、つまり、関東です。
Ýが食った骨は、京香さんの父親のもの?
だから、彼女は泣いていたのです。
僕には、そこまで誰かを愛することはできないだろうなと思います。
この漫画を読んでいて、この学生時代の話しを思い出しました。
「むしろ食べたい」
その瞬間、僕は
母親を自分の一部にしたいと
強く願いました。
これは、Yと同じ感覚です。
強い愛情です。
それは、とても怖い。
過度の感情の傾斜は他者にとって恐怖なのです。
人間の表皮をはがした、その内側に潜む内面の複雑性
人の不思議を感じました。
だが、その繊細な部分にこそ
粘膜組織のようにジュクジュクした中にこそ
心の底に直接触れてくるような
何かそういう力があるのかもしれません。
ページ数192
読了日 3/10
読書時間 2時間半
母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。 [ 宮川 サトシ ]
<読了> #母を亡くした時僕は遺骨を食べたいと思った。 #宮沢サトシ
— 武藤吐夢@読書などなど・・・ (@m181981) 2019年3月10日
マザコンのおっさんが母親を亡くしたこと、なかなか受け入れられない。
その葛藤がわかった。僕は、遺骨をとか、ホラー的なことまではいかないが、大切な人を失くした人の思いは伝わった。いい作品だと思うhttps://t.co/YUt8E1mZns pic.twitter.com/07walYw1pd
このように見ていくと、小津映画の典型的なラストシーンはシークエンスを見ていくと、代表作の終わりは意図的にあるパターンを持っていた。となります。
<読了> #これからの本の話しをしよう #荻野正昭
— 武藤吐夢@読書などなど・・・ (@m181981) 2019年3月5日
最初のころからの電子書籍の歴史が、ざっとわかり、本のこれからの可能性のようなものも見えてきました。
とても興味深い内容だったのですが、話しが途中で飛んで少しわかりずらい所もありました。
https://t.co/YUt8E1mZns pic.twitter.com/DT7WA9TWxf
<読了>#京都九条のあやかし探偵 #志木謙介
— 武藤吐夢@読書などなど・・・ (@m181981) 2019年2月26日
ライトノベルだとか、設定が幼稚だとか馬鹿にしてはいけません。
きちんと、丁寧に人間の内面まで描かれた、あやかしミステリーでした。完成度は高く。なるほどというオチもありました。
続編が出たら必ず買って読むと断言できますhttps://t.co/YUt8E1mZns pic.twitter.com/gohky6Q4fV
大学生のころ、僕は塾で講師のバイトをしていた。
二階に控室があり、文系は右側。理系は左側に席が用意されていた。
僕は、国語を教えていたので右側に。
一番、右の席にいつも、一人のちっこい女性がいた。
その人は、京都大学の学生で英語の担当だった。
いつも独りぼっちで、孤独と結婚でもしているかのようだった。
誰かが話しかけても「ちわっ」と挨拶を返すだけ、顔も上げない。
いつも、その端っこの席で、本と睨めっこしていた。
右斜め45度の角度からの彼女の横顔は綺麗で
気がつくと、そこに視線がいってた
何を読んでいるのか気になっていたけど聞ける雰囲気ではない
彼女の周囲には、見えない壁ができていた。
文系の連中は、私立大の人間ばかりでつるみ
態度のでかい京大生が嫌いだった。
中でも、彼女は、特にお高くとまっていたので、皆に避けられていた。
理系の連中は、大半が京都大学の学生で、こっちもこっちで群れていた
彼女は、どうしてか、自分の大学の人たちとは近づきもしないんだ。
いつも同じ場所で本を読む、授業をして気がつくと消えていた。
その繰り返しだった。
そういう人だった。
1月ごろだと思う。インフルエンザで、社員の国語の講師の人が土日休んだ。
金曜の夜に、いきなり、「悪いけど、土日の代理頼むわ」と塾長に押し付けられた。
土曜、行ってみると控室に彼女がいて、すごく嬉しかった。
クラスは2つ。講師は3人で、授業とテストをやるという形式。
つまり、講師が一人待機になる。
僕が待機の時間、目の前に、彼女の本が。
何を読んでいるのか、すごく気になった。
ブックカバーがしてあったが、開けてやった。
彼女は授業中だ。かまいはしない。
これだった。
村上春樹のでなく、昔の白水社から出ている、こっちだ。
それもボロボロ。
例えるなら、公園に忘れてしまい。そのうち、雨が降り、犬が地面に落とし地面を引きずった。
そういうボロボロ。
30回くらい読んでるのではないかというボロボロさ。
線が引いてあった。
今回、再読し、その文章を見つけました。
その部分を引用します。
「悲しい別れでも、嫌な別れでも、そんなことはどうだっていいんだ。どこかを去っていくときには、いま自分は去っていくんだってことを、はっきり意識して去りたいんだな。そうでないと、なおさら気分がよくないものだぜ」P10
ホールディンが退校するのに、みんなが、そのことを無視する。そんな時に出たセリフです。
必死に強がっている、そこが、ちょっと切ない。
ちなみに、僕は、このセリフが好きです。
P177「金の野郎め!。いつだって、しまいには、必ずひとを憂鬱にさせやがる」
こっちは、ホールディンらしさが出ています。
今回、映画化すると聞き、あえて白水社の方を選び再読しました。
正直に言います。「これはすごい・・・」と思いました。
以下、本の感想・・・。
高校生のホールディンは成績不良で退校となることになった。
世話になったスペンサー先生に、お別れの挨拶に行きます。
彼が、欲していたのは共感。何も言わず抱きしめて欲しかった。
だが、先生は、これが最後だ。何かしてやらねばと説教を始める。
そして、最後に「幸運を祈るよ」なんてインチキ臭い言葉を吐く。
この瞬間、僕も彼になったような気分になった。
何もわかっちゃいない。馬鹿野郎。彼の悪態が、僕の胸にも降臨してきました。
本当は、そんなことを1ミリも思っていないくせに、大人は平気で嘘をつく。
だから、彼は怒りという弾丸を機関銃に装てんし、そこら中に撃ちまくる。
寮に戻ると、同室のイケ面から宿題を頼まれる。デートなんだそうだ。
相手が悪い。ホールディンの家の隣の女の子。好きだった子。
それでも、宿題をやってやる。でも、帰ってきたルームメイトは、その女の子をコーチから借りた車で・・・。
頭にくる。せっかくしてやった宿題にまで文句をつけられる。
怒り狂い挑みかかるが、逆にやられてしまい鼻血。
この最低野郎、低能に大事な女の子を奪われ、屈辱まで味わい
彼は学校を飛び出す
学校を飛び出す前のシーンと、その後は実は断絶していると思う。
怒りや矛盾や不安を、壊れた充電器のようなホールディンはため込みます
それが、放電という形で悪態となり放出しているのです
それを「大人はわかってくれない」。わかろうともしない。
まだ、明確な行動倫理とか論理的な思考を持たない高校生のホールディンは、周囲の人間に対して毒を吐きまくるのだが、それは漠然とした不安や苛立ちとか、大人の無理解や大人社会のインチキさに対する反抗なのだと思う。
その根拠は、妹のフィービーや、博物館でミイラを探していた子供たちや、教会の関係者らしき教師たちには、その毒舌を封じているからです。
彼が言葉を荒げる時には、そこにインチキや不合理があるからだ。
これは純粋な子供の大人に対する戦争だと思った。
だが、この戦争は、しっぺ返しの連続だ。
孤独な彼は、人恋しさから売春婦を買う。1回5ドルだ。
やってきたのは、若い女。彼は、ただ、話しがしたいだけだった。Hなことはどうでもよい。
だから、金だけ渡して何もせず帰らせた。おしゃべりだけ。
それを大人たちが、どう受け取るかはわからない
売春婦のバックにいる男は、これはカモだと踏んだ。5ドルではなく10ドルだと言い。部屋まで押し入り、暴力的に金をむしり取る。
そして、信頼していた前の学校の先生。
家に泊めて貰うことになるが、夜中に触られる。
信頼していた人間からの裏切り。
いつも、彼を傷つけるのは大人や、無神経な奴らだった。
彼は、いつも誰かを信じたいと思う。繋がりたいと思うが、その気持ちは伝わらない。
好かれる為の努力もせず、ただ、好かれたいと欲するばかり
それでは、いつまでたっても堂々巡りにしかならない
その毒舌は誤解され、嫌われて狂人のように思われる。
世界中の人間が、まるで敵になったみたいに思えてくる。
そんな彼のことを、全面的に許容する愛すべき登場人物がいた。
彼女によって、彼は光明を見出すのだ。それが幼い妹のフィービーだった。
彼が西部かどこかの田舎に逃げようとしているのを、大きな旅行鞄を抱えて「私も行く」と必死に阻止しようとするかわいい妹。
誰かに、全面的に許容されたいという思いが、ホールディンにはあったと思う。
だから、NYの夜の街をさまよって、人とぶつかりボロボロに傷ついた。でも、最後に、妹に体当たりに近い許容を見せられ。世界中の人間が敵になっても自分だけは味方でいるよという意思を示され、彼は踏みとどまったのだと思う。
もちろん、この小説のモチーフは、大人たちのインチキに対する孤軍奮闘である。大人たちの欺瞞に対しての毒舌戦争だ。そして、もう1つ、人間には理解者が必要であるという裏モチーフも存在していると思うんだ。
いい作品だった。たまには、名作と呼ばれるものを再読するのも悪くないようです。
僕の中にも、ホールディンはいるんだと再認識した。
もう、僕の中の彼女は、10年前にこぼした醤油のシミのように
どうでもいい存在なのだけど
孤独に、一人で控室の片隅で
この大人の中に存在するインチキと、必死になって戦っていたホールディンのあの毒舌
孤独な闘いの物語を、ボロボロになるまで読んでいた
そのかつて僕が好きだった、とてもちっちゃな女性を、あの横顔を、この本を読むと思い出さずにはいられないのです。
これが、僕のサリンジャーの思い出。
ねぇ、今誰か声が聞こえなかった?怖い!この部屋何かいるよ!」うん、聞こえているよ。ところであたなは誰なの?
「うらめしや・・・」「呪ってやる・・・」「見つけたぞ・・・」「お前の首を・・・」ちょっと一度に話かけないで!また殺すわよ!
今日は親友とハイキング。親友はどんど奥へと進んでいく。「帰り道はわかるの?」「大丈夫、帰らないからね」
瓶に入れておいた劇薬を、助手がパンに塗って食べてしまったらしい。大きな字でちゃんと「苺」と書いておいたのに。
刃物で切られて、バラバラにされて、溶かされて、押しつぶされて、また切られて、ここまで来ました。紙と申します。
ネット注文したマッサージチェアが届いたが、すぐに、返品することにした。腰かけていたあの男も付属品だなんて。
相手に理解できない説明は意味がない
主人公は、ロバです。
絵が、かわいい。
表情が豊か、子供受けまちがいない。
そのロバが、もしも、家の中に入ることができたらという話しです
もし、家の中でロバを飼ったら、どうなるのでしょう?
擬人化ですね
ロバは、こんなことをします
椅子に、ゆったり余裕ですわったり
台所でさかだちをしておどけたり
ブタやイヌのともだちが遊びにきたり
靴下もはくんだよ
赤と白のボーダー
お気に入りの映画もあるよ
ピアノをひいたりします。
朝ごはんは、藁です
居間で側転もする
寝転んで電話もするんだよ
盗み聞きだってしてしまう
すごくかわいいロバなんだ
村上春樹氏のあとがきによると、「ロバの顔や仕草がなにしろとてもすてきです。見ているだけで飽きない。さて、ロバはほんとうにいるのでしょうか? ほんとうはいないのでしょうか? ロバは見える人にしか見えないのでしょうか? ひょっとして、あなたの隣にロバがいたりしませんか?」と書かれていて、想像して楽しむことをすすめています。
おじさんと、いつも一緒なんだけど
たぶん、このロバは透明だと思います
霊ですよ
だから、自由にできるのです
P31「西郷のことを、小さく打てば小さく響き、大きく打てば大きく響く」と評したのは、かつて勝が手足のように使い、頼った末、京の一角で暗殺された坂本龍馬という土佐出身の浪人である。まったく、その通りだと勝も考えた。天下について問えば天下のことが、正義について問えば、正義のことが、西郷の内に入り大きく響きだす。
P43
「勝阿波守は、味方のなかには敵がたくさんいるくせに、敵の中には敵らしい敵がいない」という状況を作り出していた。それが勝をここまで生き延びさせ、そして、また、今の大役を背負わせることになった要因であろう
まともに考えると、日本から裏側のブラジルまで穴を掘るという出来事がどれだけ馬鹿げているか、それはすぐにわかる。
意味が不明です。
「だって、近道じゃありませんか?」
と言われても納得できないし、地球の真ん中には、数千度のマントルがあるわけだし、固い所もあるでしょう。
技術的にはどうするのよと言いたい。
どうやら、温泉を掘る技術を使っているようだ。そして、実際に、温泉を掘り当てる。
その政府の計画に警戒し探ってくるような動きがある。冷戦時代のポーランドの人や、北朝鮮の人と思われる人物たち。ディズニーランドで主人公がデートした女性は、この前殺された北朝鮮のリーダーの兄貴を思わせる人物の秘書だったりする。
穴だよ、穴。
どうして、そこまで警戒する。
何を探るというか、何も探れてない。
どう考えてもバカバカしい。このプロジェクトに、広報として雇われた鈴木という真面目な男が主人公だ。周囲の人間、作業員、技術者もまじめだ。
この奇天烈な事業を真剣にやり、真剣に描いている。
何の疑問もなく?。やり遂げようと努力している。
こういう風に、自分のやってることが、何のためなのかも、よくわからずに真剣に働いている人は、たくさんいるのかもしれない。
それ怖くありませんか?。
この小説には、構造的な穴がある。技術的とか知識的とか、そういう意味です。
不可能だ。
少し頭のいい人ならわかる。
だが、誰もそれを疑わない。
それは、何かの比喩なのだろうか?。
もし、この小説に技術的なことや、地学の知識などを導入し、色々と細かいディテールを考えてリアリティを出していったとする。
その場合、たぶん、この物語のこのパワーは半減し面白さはかなり削られていくだろう。
常識を無視することで、文学としての面白さを獲得した。それは、あのゴジラが放射能汚染で突然変異し産まれたという奇天烈な発想と同根だ。
嘘の中から、物語は生まれる。
これは嘘物語だ。
作者は、大真面目に嘘をついている。
登場人物は、その嘘に翻弄されている。
たいていの人は、その整合性や現実性などを考えず、パーツとして努力し働いている。
この30年に及ぶ、この努力は何なのか?。
公共事業の中に、こういうことありませんか?。
あなたの仕事は、これと同じではありませんか?
意味は?
成果は?
コスパは?
そもそも、何のためにやっている
こんなバカみたいな論理
なんで従う
何も言わない
どうして?
どうして?
どうして?
色々と読んでいて考えさせられた。
主人公の鈴木さんは、ラストで穴の中に飛び込みます。
たぶん、死にます。
僕たちの中にも知らずに深い穴の中に落ちている人がいるのかもしれない
この物語は、思考停止している日本人への警告だと、僕は思う。
お前が穴に落ちてるんやろ。
今年度、文藝賞受賞作品。
ページ数 160
読書時間 4時間
読了日 12/15
いつか深い穴に落ちるまで [ 山野辺 太郎 ]
P42「アメリカの奴隷たちは、綿花畑で苦しみを歌うことができたが、ベトナムの女性たちは、心の中で悲しみが大きくなるままに任せていた」。悲しみの重みで腰が曲がり、もう立つこともできなくなった。
P72 夜の間に、共産主義の反逆者たちが地雷を埋め、昼間に、アメリカが撤去する。・・・ある日、若い娘が粉々にされた。周りを黄色いカボチャの花が囲んでいた。ひょっとして、あの娘は町にカボチャを売りに出かけるところだつたのかもしれない・・・。
P126 空間を引き裂くほどの銃声にもかかわらず、景色は変わらなかった。風が、この大きすぎるほどの愛と、言葉にならない苦しみの前を通り抜け、稲の若穂を揺らしていた。半分泥に埋まった息子の体を抱きしめる母は、涙を流し、叫び声をあげた。
そして、もう1つ、難民収容所での話し
P23「男の子?、女の子?」ズボンのゴムを下げて性別を確認した。私たちは、あまりにも痩せていたので10歳の男の子と女の子の見わけもつかなかった。
黒い着物を着た人形
おかっぱ頭の
赤い糸で顔をしばられた
呪いの人形が
全部、嘘、でたらめの都市伝説が
子供のでっちあげのはずが
人 殺 し にやってくる
読むと死ぬ
呪いの小説
時価総額5兆円、日本を代表するエクセレントカンパニー・信越化学工業。代表取締役会長として同社を率い、上場企業最高齢である著者がこれまでの人生の中で体得した、珠玉の言葉100を掲載。と紹介文。
本当は、人によって時間の過ぎ方は違うんです。そんなものが他人と違ってきたとしても、あまり、慌てることはないと思いますよ
お父さんを構成していた量子がぜんぶ地球上、いや、宇宙にはあるわけだから、それが、ふとしたことでまとまって・・・
アミターバ。つまり、 無量の光。・・・要するに阿弥陀さんです。・・・極楽浄土てのは、何か、私らには計り知りぬ存在の意思や思いが実現している場所らしい。それを疑わないことです
・・・自分は白人だから、殴られる正当な権利がある。あなたは、そう思っているんだ
カメレオン国民。主人の猿真似をする国民。1つの精神が千の肉体を動かしているともいえよう。それでこそ、人々は単なる機械になっている