武藤吐夢 BLOG

読んだ本感想を書いています。 毎月、おすすめ本もピックアップしています。

カテゴリ:月ごとの読書まとめ(おすすめ本) > 2019年


読んだ本の数:10
読んだページ数:3862


夏への扉 (ハヤカワ文庫SF)夏への扉 (ハヤカワ文庫SF)の感想
1970年というと今から50年前なのだが、ここに描かれている世界は、そんなに古くは感じない。30年後の2000年までタイムリークするのである。この未来は、ロボットが活躍する世界で、この元になったのは、主人公の技術者の技術だった。そのすべてを、彼は元婚約者と親友に奪い取られてしまう。再度、1970年に戻り人生を再修正する。そういう物語なのです。2000年は、約20年前の過去であるのだが、風邪が撲滅しているとか、すごいことになっている。
読了日:04月03日 著者:ロバート・A. ハインライン

帰去来帰去来の感想
殺されかけた女刑事が、パラレルワールドで警視に出世している。会社員だった元彼が部下だったり、父親が別人だったり、今までの世界とは違う。戦後なのだ。闇市だってある。前の世界と、飛んできた世界に共通する犯人。後半は、出生の秘密。複雑な人間関係が、怒濤のような凄まじい展開で明らかになっていく。アクションあり、謎解きあり、描かれている人物は濃厚。読みごたえのあるsfだった。
読了日:04月06日 著者:大沢 在昌

黄泉がえり again (新潮文庫)黄泉がえり again (新潮文庫)の感想
あの名作「黄泉がえり」から17年後が描かれている。熊本地震の後の世界が舞台だ。蘇える人は、切実に、その人を大切だという熱い思いにこたえるのだと思う。だから、前作でも今作でも、蘇えった人たちは生命を投げ出して愛する者たちを救おうとする。その熱い思いは、作者の熊本復興の思いと重なり合い、とても読後感が良いのだ。今回、熊本城を建設した加藤清正、恐竜なども復活し、エンタメ小説としても楽しめる内容となっている。
読了日:04月10日 著者:梶尾 真治

山海記山海記の感想
<読了>#山海記 #佐伯一麦 少し辛い読書時間になってしまった。 奈良の十津川村の水害の跡を訪ねるバス旅 そこに、東北震災の悲しい記憶を重ね合わせ さらに、地誌のような歴史やそういうのを入っていく 肩が凝る話しだった。 読む本の選択を間違えたかな。
読了日:04月11日 著者:佐伯 一麦

伏 贋作・里見八犬伝 (文春文庫)伏 贋作・里見八犬伝 (文春文庫)の感想
犬人間というものが、江戸の街にいたそうな。それを狙う賞金稼ぎの猟師の女の子浜路という十四の少女が主人公。軽い兄思いのアクティブな女の子です。だからなのか、少し物語も軽く飛んでいきそうなのです。里見八犬伝の贋作である贋作里見八犬伝という物語が、この浜路の物語の中に、二重構造のように入り込んでいるのが、この物語の見どころ。本家の里見八犬伝よりも、こちらの方が現代人には好感を持って受け入れられるのではないでしょうか。楽しめました。合格です。
読了日:04月14日 著者:桜庭 一樹

([か]12-2)想いであずかり処 にじや質店 (ポプラ文庫 か)想いであずかり処 にじや質店 (ポプラ文庫 か)の感想
満月にだけ開業するという<にじや質店> そこでは、願い事を叶えてくれる。 その代わり、大切な何かを利息として渡さなければならない。 たいていは、それは渡していいものなのだ。 こういう ドラえもんのポケットみたいな不思議な店が、実際にあると、たぶん、たくさんの人が幸せになるんだろうなと思う。 どれも優しくていい短編ばかりだった。
読了日:04月16日 著者:片島 麦子

和菓子のアン (光文社文庫)和菓子のアン (光文社文庫)の感想
デパ地下の和菓子屋でバイトをする、少しぽっちゃり系だけど、かわいい女子が主人公です。読んでいるうちに、むしょうにデパ地下の和菓子コーナーに行きたくなる。和菓子を買いたくなる。そういう作品でした。主人公の成長物語というのが基本で、そこにミステリー要素も加わって、とても面白い感じになっております。店員のキャラが濃いのが良いですね。とても魅力的です。和菓子好きにおすすめの作品であります。
読了日:04月19日 著者:坂木 司

ヒア・カムズ・ザ・サン (講談社文庫)ヒア・カムズ・ザ・サン (講談社文庫)の感想
芝居にもなっているらしい。同じ設定で、2つの話し。読後感は、まったく違った。パラレル世界の方が、こっちが芝居の方らしいが、しっくりきた。もう1つの方は、よく作り込んでいたが、ミステリーみたいな気がした。感情の琴線に触れてくるのは、パラレルの方だ。  モノに触れると、そこから、そのモノから発する感情が伝わってくるという話しなのですが、それがパラレルの方は効いていた。もう1つの方は、あまり作用してなかった気がする。実験的な作風だが、SF好きなら楽しめると思います。
読了日:04月21日 著者:有川 浩

キノの旅〈11〉the Beautiful World (電撃文庫)キノの旅〈11〉the Beautiful World (電撃文庫)の感想
不思議な国を旅する話しです。短編集。今回は、「アジン(略)の国」「道の話」「戦う人達の話」が面白かった。 まるで、落語の寿限無のような長い名前の国。ラストには、その国の名前がわかり、その国が、どのような歴史を抱えているのかがわかるのでした。「道の話」は、何代にもわたって道を作っている集団の話し。その意図は、かなり暗黒。「戦う人達の話」は、アクション系で、良く出来ている。
読了日:04月24日 著者:時雨沢 恵一

夜のピクニック (新潮文庫)夜のピクニック (新潮文庫)の感想
24時間歩く、そういう歩行祭という高校の行事の話しだ。 これは名作だった。優れた青春小説だった。歩くという行為の中に、話すという行為が含まれていて、その中に内省する。考えるという行為も含まれていて、気づくと主人公の一人である高校生に自分が感情移入していた。あまりにも単純で、なのに、そこに色んな思いがあって、高校生の複雑な心の内が表現されていた。いい作品です。
読了日:04月30日 著者:恩田 陸



2019年 4月 おすすめ本

・夜のピクニック 恩田陸

・夏への扉 ロバート・A. ハインライン


【中古】 夏への扉 講談社ルビー・ブックス20/ロバート・A.ハインライン(著者) 【中古】afb
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【中古】afb_【単品】_夜のピクニック_(新潮文庫)
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読んだ本の数:14
読んだページ数:4127


トリツカレ男トリツカレ男の感想
童話のような雰囲気なのがいい。もっと、この世界観の中で漂っていたかった。でも、サクサク読めてしまうので、気がつくと終わっていた残念。とても優しい物語。ラブストーリーだ。トリツカレ男とは、歌や三段跳びや探偵という何かにトリツカレて、それに夢中になり世界記録まで出すほどにのめり込む凄い男。彼がトリツカレたのは美しい娘。彼女を幸せにしようと、死んだ彼女の婚約者に、逆に、乗っ取られたり、病気になったりと凄い展開なんだ。おもしろかったよ。
読了日:03月02日 著者:いしい しんじ


これからの本の話をしようこれからの本の話をしようの感想
1992年から、電子書籍事業に従事しているパイオニアの語る、本、電子書籍の可能性はなかなか深いものがありました。彼は、その前はレーザーディスク、映画などの仕事もしており、過去の苦労話しもためになりました。問題は、話題が飛ぶのでついていくのが難しく。好き放題に語っているというところです。もっと、わかりやすく説明しなきゃ。読者のことを考えて欲しかった。内容はいいです。電子書籍の歴史が、ざっと見渡せます。
読了日:03月05日 著者:萩野 正昭

金色機械金色機械の感想
本推理作家協会賞受賞作品。江戸時代をベースにしたファンタジー。 この機械人間は、スターウォーズのC3POと似ています。少しです。相手の敵意や殺意が見えてしまう熊五郎。手をかざすだけで相手を殺すことのできる遥香。この三者が入り乱れ、山の奥に隠れ住む鬼御殿の奴らと関わっていくという、復讐。探偵ミステリー。何か不思議な話しでした。とにかく、おもしろい。気がつくと夢中になっていました。エンタメ娯楽作品です。
読了日:03月08日 著者:恒川 光太郎

フェルメール 隠された次元 (翼の王国books)フェルメール 隠された次元 (翼の王国books)の感想
生物学者のフェルメール愛があふれた本でした。真珠の首飾りの少女のモデルが、フェルメールの長女で、彼女は父親の助手をしていたという仮説まであるそうです。あの振り返った時に見せるおびえた視線の意味もわかりました。福岡先生は、絵画の中の楽譜を分析し画像処理し当時の音楽を研究し再現までしました。さらに、当時の絵の色合いなどを復元するリ・クリエイト作品まで世に出しました。どれだけフェルメールが好きやねんというディープな美術と生物学の話しでした。
読了日:03月09日 著者:福岡伸一

母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。(新装版)母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。(新装版)の感想
マザコンのおっさんが、お母さんの死を受け入れなくて、すごく葛藤する。その愛情は、よくわかった。遺骨を食べたいという気持ち、よくわかる。それくらい愛していたということだ。僕は、そこまで誰かを愛せるとは思えないので、これはとても驚くのです。しかし、その気持ちもわかります。漫画ですが、純文学作品みたいに心の中に押し入ってくる。 
読了日:03月10日 著者:宮川 サトシ

暗殺日和はタロットで暗殺日和はタロットでの感想
4年ぶりに目を覚ましたピアニスト、タロット占いが趣味の暗殺者。加害者の娘の高校生、ヤクザの部下のヤバそうな女、チャイニーズマフィア。父親が死に、彼女の周囲は物騒になる。まるで、漫画のようにコロコロと転がっていくストーリーに、ほとんどニュートラル状態で魂を浮遊させている自分がいた。色々と、本当は突っ込みどころ満載なのですが、気が付くとページをめくっていて、次は、次はと・・・。ラストまで、彼女を狙った人間がわからずというのもいいね。
読了日:03月11日 著者:古川 春秋

([ま]9-1)僕はかぐや姫/至高聖所 (ポプラ文庫)([ま]9-1)僕はかぐや姫/至高聖所 (ポプラ文庫)の感想
百合要素ありの2作品。1992年に出た復興版。1つは、芥川賞受賞作。もう1つは、三島由紀夫賞。贅沢なラインナップだった。設定が昭和だと思うが、主人公の少女たちの感覚は、今とさほど変わりません。アイデンティティの喪失に対する危機感というか、青春の一コマというか、細部にわかって、よく内面まで深堀りされている秀作でした。「僕はかぐや姫」の方が、好みでモチーフは深かった。両作品とも当たりです。
読了日:03月13日 著者:松村 栄子

狼の群れはなぜ真剣に遊ぶのか狼の群れはなぜ真剣に遊ぶのかの感想
狼大好きの狼の専門家の女性が、実際に観察した狼の姿を通して感じたこと、思ったこと。狼という生き物を解説した優れた本でした。狼が、人間とさほど変わらない感性を持っていることもわかった。夫婦愛。家族へのいたわり。組織のリーダーを決めるときの合理性。そして、旧友であるカラスとの関係性。たくさんのかわいい狼の写真があって、それを見ていると以前の悪の化身のようなイメージが吹き飛んだ。
読了日:03月15日 著者:エリ・H・ラディンガー

ことのはロジック (講談社タイガ)ことのはロジック (講談社タイガ)の感想
元書道の天才と外国人の美少女というコンビが、言葉にまつわる事件を解決していくミステリー短編集。自分の思いのたけを言葉に託したい。彼が、屋上に描いた言葉は、なるほどと納得。しかし。夏目漱石が、I LOVE YOU を「月が綺麗ですね」と訳した。あの優れたセンスの足元にも及ばない。単純に事件を解決するという形ではなく、ラストにどんでん返しを用意している。もう一回、もう一回、もう一回という形で攻め込んでくる。なかなかおもしろい。
読了日:03月16日 著者:皆藤 黒助

ギリシア神話を知っていますか (新潮文庫)ギリシア神話を知っていますか (新潮文庫)の感想
 いつも、この手の本は、神話のあらすじが固くて、すんなりと入っていかないのだけど、これは違った。物語に、きちんとキャラがついていて、物語の動きがリアルだ。さすが、作家の書いた入門書だけある。  阿刀田さんは、ギリシャの神々は人間的だと言っていたが、まさしく、その通り。男女差別しているし、女の人をモノのように扱うのは、現代のおじさんたちのようで鼻についた。知らないことが、たくさんあり、これを読んで知り、再確認した。とても面白かった。 
読了日:03月18日 著者:阿刀田 高

東京の子東京の子の感想
東京オリンピックから3年後の近未来社会。前に読んだ、オービタル・クラウドも近未来だった気がする。これが藤井流?。少子化で、移民が増える社会。日本は景気後退し、東京オリンピックの跡地に東京デュアルって、働きながら学べる大学があって、そこでは学費、寮費、食費も学校が貸してくれる。奨学金だね。ただし、協賛企業に入社したら借金が半分になるという。それを人身売買だってことだと作者はとらえた。いつも思うけど、藤井さんは頭がいい。設定がおもしろい。満足しました。
読了日:03月20日 著者:藤井 太洋

斎藤一人 日々の幸福論: 型破りで温かい49の問答集斎藤一人 日々の幸福論: 型破りで温かい49の問答集の感想
優しい言葉の応酬で、とても癒された。超ポジティブな人だから成功したのだと思う。49の質問に答える形式で、幸せになる方法を伝えている。結論は、ポジティブ思考なんだけど、わかっていてもできない。だから、僕は斎藤一人さんの本を読む。成功者だから、やはり言葉にも重みがある。とても良い読書時間になりました。
読了日:03月22日 著者:鈴木 達矢

円卓 (文春文庫)円卓 (文春文庫)の感想
眼帯をしている女の子に憧れて、自分も真似をする9歳の女の子琴子。彼女は公団に、祖父母、両親、中学生の3つ子の美人の姉の8人家族で暮す。皆から、かわいがられている。母親が妊娠、引っ越しか。バランスが崩壊する。顔を踏んでくれと言ってくるきもいおっさんの登場、そこで琴子は一瞬、精神崩壊し、うさぎを自分の顔の上に置くという奇行を行う。思春期の少女の不思議な感覚を再現していて、胸にずしっとくるものがあった。子供のころには持っていたが、今はない感覚が蘇ってくる。 
読了日:03月24日 著者:西 加奈子

とっぴんぱらりの風太郎とっぴんぱらりの風太郎の感想
 読むのに一週間もかかった。だが、面白かった。もう一度、このままの勢いで最初から、この世界に浸りたい気分だ。ラストの炎上する大阪城への侵入。仲間の忍びの者たちとの友情。そして、豊臣秀頼との熱い感情。宿敵である残菊たち徳川方の忍び軍団との死闘。最後の最後まで目が離せなかった。良く出来たエンタメ小説だと思う。 http://muto.doorblog.jp/
読了日:03月31日 著者:万城目 学


今月もたくさん読みました。
14冊です。
傾向としては、雑学系の専門書を5冊も読んでいることでしょうか。
いつものように3冊のおすすめ本を・・・
全部小説です。

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・円卓 (西 加奈子)
・僕はかぐや姫/至高聖所(松村 栄子)
トリツカレ男(いしい しんじ)





【中古】 トリツカレ男 / いしい しんじ / 新潮社 [文庫]【メール便送料無料】
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【中古】円卓 /文藝春秋/西加奈子 (単行本)
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僕はかぐや姫 / 至高聖所 ポプラ文庫 / 松村栄子 【文庫】
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1月の読書記録
読んだ本の数:13
読んだページ数:4000



償いの雪が降る (創元推理文庫)償いの雪が降る (創元推理文庫)の感想
この作品の成功は、時間制限があることだ。大学生のジョーは、大学の英語の課題で年寄りの話しをインタビューしなくてはならない。紹介された老人ホームの老人は末期がん。彼は、30年前に14歳の少女をレイプし焼き殺した極悪人だった。だが、話しを聞いていると無罪らしい。そこで、ジョーは隣人の女の子を巻き込んで、その謎を解決する。老人には時間がない。実は、そこに微妙な緊迫感が出ていいんだ。そして、ジョーのキャラクター。貧乏で、自閉症の弟がいて、武術には自信がある。なかなか面白いミステリーだった。
読了日:01月28日 著者:アレン・エスケンス

ライ麦畑でつかまえて (白水Uブックス)ライ麦畑でつかまえて (白水Uブックス)の感想
大人はわかってくれない。これを読んでいて、そう思った。まだ、明確な行動倫理とか論理的な思考を持たない高校生のホールディンは、周囲の人間に対して毒を吐きまくるのだが、それは漠然とした不安や苛立ちとか、大人の無理解や大人社会のインチキさに対する反抗なのだと思う。その根拠は、妹のフィービーや、博物館でミイラを探していた子供たちや、教会の関係者らしき教師たちには、その毒舌を封じているからである。彼が言葉を荒げる時には、そこにインチキや不合理があるのだ。これは純粋な子供の大人に対する戦争だと思った。
読了日:01月25日 著者:J.D.サリンジャー

意味がわかるとゾクゾクする超短編小説 ゾク編 54字の物語 怪意味がわかるとゾクゾクする超短編小説 ゾク編 54字の物語 怪の感想
54文字という短い空間に小さな世界が詰め込まれてある。おもしろい。ちゃんとオチもあり、楽しめた。だが、解説のヘージは不要だと思う。ほとんど読む必要性を感じない。だが、それだと1時間以内で読まれてしまい。それはそれで出版物としては問題なのかもしれませんね。怖いというよりも、ブラックという感じの印象が強い。
読了日:01月22日 著者:氏田 雄介

東大院生が開発!  頭のいい説明は型で決まる東大院生が開発! 頭のいい説明は型で決まるの感想
僕も難しい言葉(横文字)を連発して、?顔されるタイプなので、これは参考になります。予備校の元人気講師が作った型IKPOLET法。これは、伝える時のフレームワークなのだそうだ。ここに示された7つの方法は、すべてとは言えないが、いくつかは役に立つと思った。読んでよかった。サラリーマンよりも、教師の方が読むリターンが大きくのではないかと思えます。
読了日:01月21日 著者:犬塚 壮志

居た場所居た場所の感想
 芥川賞候補になった作品。僕は、面白かったよ。つまり、あの2作品は、それ以上ということなのか。  小翠という外国人妻と主人公の男の不思議物語。たぶん「居た場所」というタイトルが、モチーフなのだ。解釈は、色々と見てとれる。交換留学生としてやってきた小翠は、彼と結婚し日本人になった。その彼女が、故郷ではなく、かつて住んでいた町を旅したいと言い出す。そのグーグルマップにもない町。その執着が、日本人妻の孤独とリンクするのか、それとも、これをタッタという不思議な生物をからめたSFっぽくとらえるのか。とにかく面白い。
読了日:01月20日 著者:高山羽根子

キノの旅X the Beautiful World (電撃文庫)キノの旅X the Beautiful World (電撃文庫)の感想
いつものようなシュールな世界。僕には、とても心地よい。起承転結が、はっきりしていて、ラストに必ずオチがあるのも好きな要因です。今回は「歌姫のいる国」という作品が良かった。少し長い目なのだが、アクションシーンとミステリー要素があり、なかなかの読みごたえがあった。歌姫が人気の国で、誘拐事件が発生。人質にされているのは、小さな女の子。この子が、本当は歌姫なのだが、殺せという指令がキノに下る。おいおい、悪役かよと思っていたら、ラストでどんでん返し。殺害理由というのも、面白く。良く出来ている。
読了日:01月18日 著者:時雨沢恵一

宝島宝島の感想
米軍基地から物資を盗む「戦果アギヤー」のオンちゃんを探す仲間、親友のグスク。弟のレイ。恋人のヤマコの20年間に、沖縄の戦後史。そして、本土返還をかぶせてきた物語だった。モチーフは、自分たち(沖縄の人)を無視し、自分たちの都合で利用し支配するアメリカに対する批判と、その体制が今も続いていて、それに日本政府が加わっただけで、自分たちは蔑ろにされているという叫びだった気がした。タイムリーな主題だと思う。欠点もある。沖縄の生の言葉が難解で読みずらい。リズムが悪い。そして、ご都合主義な部分が多すぎたことだ。
読了日:01月16日 著者:真藤 順丈

わたしのおじさんのロバわたしのおじさんのロバの感想
主人公は、ロバです。 絵が、かわいい。 表情が豊か、子供受けまちがいない。 そのロバが、もしも、家の中に入ることができたらという話しです もし、家の中でロバを飼ったら、どうなるのでしょう? 擬人化ですね ロバは、こんなことをします 椅子に、ゆったり余裕ですわったり 靴下もはくんだよ 赤と白のボーダー お気に入りの映画もあるよ ピアノをひいたりします。 朝ごはんは、藁です 居間で側転もする 寝転んで電話もするんだよ 盗み聞きだってしてしまう すごくかわいいロバなんだ
読了日:01月12日 著者:トビー・リドル

麒麟児麒麟児の感想
勝海舟の視点から見た幕末。江戸無血開城。その裏話しというかディテールが細やかで、とても面白い。麒麟児は、主人公の勝海舟。そして、交渉相手の西郷隆盛なのですが、二人とも魅力的に描かれています。たぶん、作者の沖方さんは、勝海舟のことが、とても好きなんだと思う。リスペクトの仕方が半端ない。とてつもなく魅力的な人間に描かれていました。本当に、こんな男が幕末にいたのか。徳川慶喜はどうして、こんな鬼才を上手く使えなかったのか。使い方次第では、あの局面どうにでもなった気もします。すごい男です。もちろん、西郷もです
読了日:01月11日 著者:冲方 丁

死神の精度 (文春文庫)死神の精度 (文春文庫)の感想
バラバラだったはずの短編の話しが、ラストの「死神と老女」の話しで、いくつかの話しをくっつけてしまう。これは伊坂幸太郎にまちがいないと思った。死ぬ予定の人に、本当に死んでもいい人なのか、死神が調査に行く。一週間、その人にくっついて過ごし、「可」か「不可」のどちらかの決断を下す。物語は6つあり、短編で読みやすく。すべての物語に、僕の大好物のオチがある。物語の1つ1つの精度が高く、キャラもよく練り込まれていた。さすが、評判の高いシリーズだなと思った。たくさんの人に支持されるには、やはり、それなりの理由があるのだ
読了日:01月09日 著者:伊坂 幸太郎

スイート・マイホームスイート・マイホームの感想
江戸川乱歩の「屋根裏の散歩者」を思い出した。新人なのに、文章力がすごい。サクサク違和感なく読めた。しかし、この世界観に共感ができなかった。それに、ホラーなのに少しも怖くない。ミステリーなら、途中で犯人をばらしているのでダメだ。辛口ですみません。
読了日:01月06日 著者:神津 凛子

THE LAST GIRLーイスラム国に囚われ、闘い続ける女性の物語―THE LAST GIRLーイスラム国に囚われ、闘い続ける女性の物語―の感想
言葉を失ってしまった。「理不尽」「こんなことは許せない」とか、機関銃みたく、玉詰め込んで、思い浮かぶ言葉の数々をそこら中に言い放っても、たぶん、この虚無感は表現できないと思う。読んだ人を、被害者側に引き込む。そんな作品だった。ただの戦争被害ではない。これは宗教差別が関わってくる。独裁政治。無政府状態。宗教による支配るそういうものの弊害、毒がここには浮き彫りになっている。「よくぞ、生き延びてくれた」と僕は、この女性に言いたい。そして、彼女にノーベル平和賞を与えた審査員の人たちに賛辞を贈る。「それでいいのだ」
読了日:01月04日 著者:ナディア・ムラド

ペンギン・ハイウェイ (角川文庫)ペンギン・ハイウェイ (角川文庫)の感想
小学4年の男の子が主人公。彼が、歯医者の巨乳のお姉さんに恋をするという設定。その町にはペンギンが出現し、森の奥には海があり、変な動物がいる。どうも、ペンギンはコーラーの缶をお姉さんが変化させたものらしい。変な動物もお姉さんのせいらしい。海は大きくなったり小さくなったり、お姉さんの体調はそれに左右する。変な話しだ。だが、構成が上手く、どんどん引き込まれていく。最後は町が海に飲み込まれていく。そこを、お姉さんがペンギンを大量発生させて町を救うのだが、そうくるかという終わり方だった。森見さんらしいラストだった。
読了日:01月02日 著者:森見 登美彦


今月は、13冊とたくさん読みました。
その分、良かった本も多かった。
無理やりおすすめ本を3冊ピックアップします

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---2019年1月のおすすめ本---

・死神の精度 伊坂幸太郎
・THE LAST GIRLーイスラム国に囚われ、闘い続ける女性の物語 ナディア・ムラド
・ライ麦畑でつかまえて(白水Uブックス)J.D.サリンジャー

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死神の精度 (文春文庫) [ 伊坂幸太郎 ]
死神の精度 (文春文庫) [ 伊坂幸太郎 ]

THE LAST GIRLーイスラム国に囚われ、闘い続ける女性の物語ー【電子書籍】[ ナディア・ムラド ]
THE LAST GIRLーイスラム国に囚われ、闘い続ける女性の物語ー【電子書籍】[ ナディア・ムラド ]


ライ麦畑でつかまえて (白水Uブックス) [ ジェローム・デーヴィド・サリンジャー ]
ライ麦畑でつかまえて (白水Uブックス) [ ジェローム・デーヴィド・サリンジャー ] 

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