武藤吐夢 BLOG

読んだ本感想を書いています。 毎月、おすすめ本もピックアップしています。

カテゴリ: 時雨沢恵一

今回もシュールな短編の数々。
ラストのどんでん返しが秀逸


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ネタバレ注意

不思議な国を旅するお話しです
短編集。
今回は、「アジン(略)の国」「道の話」「戦う人達の話」が面白かった

「アジン(略)の国」は、寿限無のように長い名前の国
子供が、国名をすべて暗唱しているのです
何で?
という疑問を抱えながら出国する
貧しいながら、いい国でした
その国を襲撃しようとしている男に出合う
昔、その国は1500人の人口がいた
1000人しか、賄えないのに
豊漁が続き、そうなったのだった
だが、漁獲量は元に戻る
水も足らない
強引に、500人をカット
つまり、他人に殺させた
その時の殺人を依頼された人間に救われた少年が男だった
その男は、復讐の為に戻ってきた
しかし、キノに国名を見てから、やるかやらないか決めては?
と提案された
彼は、復讐をしなかった
ただし、国名が微妙に変化した
その長い国名は、その粛正の時に犠牲になった人の名前だった
彼が生きていたことにより、その国名から彼の名前が消えたのでした。
その虐殺を永遠に忘れないため
その犠牲者の名前を国名としているのだ

「道の話」は、突然、キレイな道が現れた
国まで続いている
そこで歓待されている道つくりの集団にあう
彼らは、皆の為に何代にもわたって、色んなところに分かれて
この作業を行っているのだった
何故、こんなことをやるの?
とキノが聞く
この答えが、あまりにもダークすぎて
びっくりした
路は、他所の国との交流の懸け橋となり
国が発展し、科学技術が進歩する
そうすると、人類が滅亡するのが早まる
文明が進歩すればするほど
人類の絶滅が早まる
だから、道を整備するという
何ともダークな集団だったのだ


「戦う人達の話」は、アクションとしても、ミステリーとしても
人間物語としても、よく出来ていて
とても完成度が高く
ラストまで、その帰結がまったく想像もつかなかった
独立させて映画にしても面白いかもしれない

ページ数 257
読書時間 5時間
読了日 4/24

シリーズ10作目。今回は、短編だけでなく、シュールな中編もあり、ミステリーあり、バトルあり、派手などんでん返しありで、とても楽しめました。

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※ネタバレ注意! 以下の文には結末や犯人など重要な内容が含まれている場合があります。

 キノの旅は、若い男装の女性キノが、しゃべるモトラドのエルメス(単車)と、色んな国に旅をするガリバー旅行記のラノベ版風で、2000年あたりから続いているシリーズです。
 僕が読んだのは10巻ですが、まだ、半分も到達していません。コアなファンが多いシリーズです。
 不思議な国に、3日間だけ滞在するというパターンで、オチが強烈です。
 今回も短編を含めて10話ほどありました。
 2つの話しを軽く触れたいと思います。
 
 以下、ネタばれです・・・

 冒頭の「ペットの国」
 この国は、国民がみんな、ペットを飼っています。
 義務であり、権利です。
 キノは、旅人に「無料で食べ物が貰える国」と聞いてきた。
 しかし、そんなことはなかった。
 出国の時、来訪記念にペットをあげると国の人に言われます
 キノは、鶏を貰いました。その夜、それを頂きました。
「なるほど、評判通りの国である・・・」という話しです。
 ある人には、それはペットでも、ある人たちには食べ物だというブラックな作品です。

 最後の「歌姫のいる国」
 これは160ページほどの中編でした。
 この国には、国民に人気の美声で美しい少女の歌姫がいました。
 治安の悪い国です。
 人質事件が発生。身代金を要求。キノがお金の受け渡しを依頼されます。
 だが、変な要求を受ける。
 犯人もろとも、人質になっている少女も殺せというのです。
 この話しは、歌姫のファンであり、犯人一味の仲間となる少年の視線で語られます。
 3人の仲間は、キノに殺され
 彼は、少女を連れて逃げまくる
 そのやりとりが面白い
 ラストで、どうして少女が生命を狙われたのかが判明する
 歌姫は二人いた
 一人はビジュアル担当で、もう一人は、歌を歌っていた少女
 ビジュアル担当は死に
 誘拐されたのは歌担当
 もう、用済みということ
 芸能界の裏側を見せられているようで嫌な感じです
 でも、ラストで二人を殺したことにして
 キノは彼らを脱出させます
 やはり、キノはいい役だったのかと安心し物語は終了となります。

ページ数 268
読書時間 5時間
読了日 1/18


キノの旅X the Beautiful World【電子書籍】[ 時雨沢 恵一 ]
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