500ページ強という長編なのに、あっと言う間に通り過ぎて行ったような感覚。日本推理作家協会賞受賞作品。江戸時代をベースにしたファンタジー。

※ネタバレ注意! 以下の文には結末や犯人など重要な内容が含まれている場合があります。


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 金色機械とは、何なのか?。
「ピコッ」「パコッ」と音を出し緑色に光る。まるで、スターウォーズのC3PO。
 死んだ人間の声色を使い。戦闘マシーンのように戦いまくる。
 月から来たという説明だが、それも定かではない。
 主人への忠実さは中堅ゼネコン社員ならぬ、忠犬ハチ公。
 熊五郎という遊郭の主は、相手の敵意や殺意を読み取ることができる能力者。元鬼屋敷の仲間であった。
 遥香は、訳ありの女。手をかざすだけで相手を殺すことができた。
 この三者が絡み合い、ミステリーのように、時間系列バラバラに物語は進行し、パズルのように全景が浮かび上がってくるという不思議な話しだ。
 このミステリーの部分で、日本推理作家協会賞受賞ってことなんだろうけど、異議ありですね。これはミステリーじゃなく、へんてこファンタジー冒険小説だよ。
 話しは半端なくおもしろい。
 山田風太郎さんの忍法帖シリーズみたいに、次が気になる展開になっていて、きちんと読者をその場所に誘ってくれます。ただし、男性向け。
 キーワードは、戦国時代から山の奥に存在する。月の人の末裔?。鬼屋敷の奴らです。
 こいつらは江戸時代になっても、法の外にいる存在で人殺しや女を誘拐したり酷い奴らです。だけど、最初の熊五郎目線の時は、すごく魅力的な連中に見えるんです。視線を変えるごとに、印象操作を微妙におこなっている。
 鬼屋敷に、連れてこられた中に、熊五郎と紅葉という少女がいた。
 紅葉は、ある吹雪の日に脱走し、猟師に助けられるのだが、そいつが手をかざすだけで人を殺せる特殊能力の家系の人。
 火山の噴火で、村が貧窮し彼らは、河原で暮らすことに、そこで起こった虐殺事件で遥香の両親は殺される。母親が、この紅葉です。だから、遥香には変な能力がある。
 その前に、鬼屋敷の頭が殺されるという事件が発生。その犯人の一人が遥香の父親の猟師。
 両親を殺したのは誰か。鬼屋敷の頭たちを殺したのは誰か。
 ここがミステリーの部分。
 そして、最後は金色機械を従えて犯人の復讐だーーって、簡単に話すとこういう感じです。
 色んな要素がごちゃまぜで、時系列がバラバラにくるので、頭の中で交通整理が必要ですが、ミステリーとしては単純です。
 この物語の魅力は、窮地に陥った時の人間の動き方です。その人、その人の特徴がよく表現されていて、とても魅力的です。
 とにかく、おもしろくて、平日なのに3日で読んでしまいました。かなりの寝不足状態です。
 恒川光太郎おそるべし。デビュー作品の「夜市」もおすすめです。

ページ数:486
読書時間 10時間
読了日 3/8


金色機械 (文春文庫) [ 恒川 光太郎 ]
金色機械 (文春文庫) [ 恒川 光太郎 ]
夜市 (角川ホラー文庫) [ 恒川 光太郎 ]
夜市 (角川ホラー文庫) [ 恒川 光太郎 ]